「スポーツマッサージとは」

1 「スポーツマッサージの目的」 

疲労回復は、我々トレーナーが得意とするところでニーズも多い。しかし、本人が意識していない疲労個所や要注意点(トレーニングやストレッチの必要な所)を触診などで見つけスポーツマッサージでケアーすることも大事。 

①   スポーツマッサージで筋疲労からの早期回復を図る。

パフォーマンス向上の為には、練習や試合で蓄積した疲労をスポーツマッサージで出来るだけ早く取り去る必要がある。  

②   スポーツマッサージで外傷、障害からの早期回復を。

障害からの早期回復。オーバーユースによる肘や肩、腰、膝などの障害は結構多く見られます。痛みや拘縮の治療法としてスポーツマッサージは有効な手段です。 

③   スポーツマッサージで故障やや障害の予防を。

予防はとても大事です。スポーツマッサージは、選手の体に直接触れて行うので、時には、選手自身が気づく前に故障を起こしそうな予兆を事前に見つけることもあります。(従って、選手の要望があった所だけをマッサージして、それで充分と思ってはいけません。離れたところに原因がある場合もあります)。 

④   スポーツマッサージでコンデショニング

  選手の体の状態を出来るだけスポーツマッサージで良い状態にする必要があります。選手は抽象的な言葉で要望を言うことがあります。スポーツマッサージでそういった要望にも充分答えられるよう研鑽しましょう。 

⑤   スポーツマッサージで精神状態の適正化を。

  練習期、試合時を問わず、選手の精神状態をベストにする必要があります。スポーツマッサージは体だけでなく精神状態にも働きかけます。選手が精神的にもベストな状態で練習や試合に臨めるよう心の状態へ働きかける。


 2 「スポーツマッサージの時期別相違」 

1)オフ期

故障や怪我があれば、早期回復用スポーツマッサージを積極的に行う。体の総手入れをする好機。今まで溜まっていた疲労を取り去る。

また体全体のチェックを入念に行い、障害の予防やパフォーマンス向上のための体作りの手伝いをスポーツマッサージで行う。 

2) 練習期 トレーニング期

トレーニング効果を最大限に上げる為には、疲労をいかに早く除去するかにかかっています。(その点でスポーツマッサージの果たす効果は大きい)。 

疲労は体だけでなく、心理的にも溜まって来ます。練習期の集中力を維持させる為にも、精神的な疲労を取り去ることは大事です。トレーナーはスポーツマッサージにより、精神的な疲労も取り去ることを念頭に施術すること。 

3)試合会場で 

1)出場前

選手のウォーミングアップのフオロー。最高のパフーマンスが出来るよう筋肉や靭帯のコンデショニングをスポーツマッサージで整える。

精神の集中力を高める手伝い。

その競技で主に使う部分、その選手の問題になりそうな部分を処置する。原則的にスポーツマッサージを、軽く短時間行う。 

(強いスポーツマッサージ、長時間のスポーツマッサー一ジは、通常行わない)。

疲労が取れ、心身が適度に引き締まり、レースでベストコンデションに挑めるスポーツマッサージをする。 

2、試合途中(予選→準決→決勝)

痛みや疲労を短時間で処置する。疲労感や張りの強いところを中心にスポーツマッサージを短時間で素早く行う。 

3 試合後

 スポーツマッサージで疲労した筋肉や精神の回復を早める。  障害を起しそうな部位への予防処置。  今後の体の手入れ(障害予防、パフォーマンス向上の為の)へのアドバイス。 

 


 3 「必要なこと」 

① まずは詳しい問診が必要

初診時は、若干長めの時間をかけて、相手の訴えや希望を聞き、必要な質問や検査をすることが治療所では大事です。選手は、現時点で気になる点だけを訴えますが、それに捉われることなく、経時的に考察し、主訴の部分のみでなく体全体をしっかり評価することが必要です。(選手の訴えのみに捉われてはいけません)。 

② 監督、コーチ、親とのコミュニケーションが大事

選手とのコミュニケーションは勿論大事ですが、スポーツの場合、出来れば監督や、子供の場合は親とのコミュニケーションがあった方が、ケアーの効果も上げやすく、継続して来院してくれる確立が高くなります。 

③ アドバイスは相手に分かる単語で

競技力向上の為のトレーニング等を教える時、また障害を持った選手に再発の予防法など、色々アドバイスをする際には相手に分かる単語を用い、途中で正しく理解しているかをチェックしながら話を進めることが大事です。特に、ストレッチや筋肉トレーニングを教える際には、実際の動作をやって見せ、その後で選手に同じ動作をして貰い、正しく理解しているかをチェックする必要があります。 

④ 競技特性の理解の必要性

スポーツは各種目により、体の使い方が全く異なります。又、ポジションによっても、当然違ってきます。(サッカーのホワードとキーパー、野球のピッチャーとキャッチャー等)。選手の行うスポーツはどのような動きをするのかを、まずは書物で理解しておくと良いでしょう。(選手が障害を抱えて来た時に、原因を解明する為、その種目やポジションによる特有の体の使い方を知っている必要があります。さもないと真の原因部位を見過ごし、単に先方が訴えている部位のみへの施術で終わってしまう危険性があります)

出来れば、練習会場や試合に足を運び、実際の雰囲気や体の動きをみることは、その後のマッサージ施術に大変参考になります。 

⑤ 選手の訴えのみに捉われない(真の原因はどこにあるのか?)

選手が疲労や障害を訴えて来院してきた場合、その訴えの部分へのみマッサージして事足りたと思ってはいけません。実際には体の他の部分にかかる負荷の代償や身体動作の連鎖作用により主訴部位に症状が出る場合もあります。常に全身的に考察することが必要です。 

⑥    しっかりスポーツマッサージする事とやり過ぎは違う(ドーゼオーバーに注意)

施術に熱心な余りドーゼオーバーになってしまうことがあります。しっかりとスポーツマッサージの効果を出そうとする気持ちは分かるのですが、やり過ぎはパフォーマンスの低下や揉み返しを引き起こします。(体の大きな選手が、必ずしも強い力、刺激を必要とするとは限りません)。特に試合が近づいている時期は注意が必要です。「もう少しマッサージしたいな」と思うくらいのタイミングでやめておいた方が、結果が良い場合も多くあります。 

⑧ 体のみでなくメンタル面への配慮も。

人の心と体は一つです。選手がまったく万全の状態で、試合に臨めることはまずあり得ません。不安を乗り越え、もしくは抱え込んでいても、私達は体へのケアーを通して、自信を持って臨めるよう最善の努力をする必要があります。 


 4 「禁忌」

1)絶対禁忌 

施術により危害を招く恐れのあるもの

1 急性病:急性熱性病、急性伝染病
2 悪性腫瘍:癌、肉腫
3 急性中毒:蛇毒、昆虫毒
4 急性炎症:腹膜炎、虫垂炎
5 出血性疾患:喀血、吐血、脳出血直後
6 外傷:創傷部、骨折、脱臼直後
7 重症の内臓疾患:心臓弁膜症、腎炎 

2)相対禁忌

マッサージの効果がないか、施術により症状が悪くなる恐れのあるもの

1 血管病:動脈瘤、高度動脈硬化症
2 潰瘍性疾患:胃潰瘍、十二指腸潰瘍
3 結核:肺結核、脊椎カリエスなど
4 梅毒、淋病、化膿性疾患など


 5「基本手技」 

1 軽擦法 

術者の掌を、選手の皮膚にピタリと密着差せて、末梢より中枢に向けて(心臓の
遠位より近位に向かって撫で擦る方法。マッサージの最初に行う手技。

1)手掌軽擦2)手根軽擦3)母指軽擦4)四指軽擦5)二指軽擦6)指髁軽擦 

2 揉捏法

筋肉を弛緩させて、術者の手掌で握り、圧を加えながら、擦み、こねる方法。

手首の力を抜いて、肩から大きく回す。(未梢より中枢に向けて)。

1)手掌揉捏2)手根揉捏3)母指揉捏4)四指揉捏5)二指揉捏6)把握揉捏 

3 叩打法

手の色々な都分で、手首の力を抜いて軽快にリズミカルに、素早く叩く。

1)  手拳叩打2)切打3)環状打法 

4、振戦法

手指を使って、細かく震わせる手技。途中で圧を変えない。

1)  牽引法2)手掌振戦3)指端振戦 

5、圧迫法

手指で体に持続的、間欠的に圧迫を加える。

1)  手根圧追法2)母指圧迫法3)手掌圧迫法 

6 伸展法

筋肉や腱を伸ばし、関節の可動域を拡大させ、リラックスさせる。 

7 運動法

 自動 他動 抵抗